2015年2月19日木曜日

FUJIFILM X100T レビュー その4


レビューの最後は、ハイブリッドビューファインダーと名付けられた、X100Tのファインダーについて述べよう。
X100シリーズは、初期モデルからファインダーに拘って造られたカメラである。使ってみると、富士フイルムの技術者が、研究を重ねて造り上げたものだ、との感触が伝わってくる。

「MY X100T」

その特徴は、3つある。
まず、一つがOVFとEVFを自在に切り替えられる事だ。初めて使う人は、この事に驚くだろう。丁度、グリップ側の前面にあるレバーを操作すれば、OVFとEVFが切替えできるのだ。

OVFは、肉眼で見るように明るく精細である。EVFは、撮影範囲が明確で、露出が反映されたライブビューの画像が見える。撮影者の選択で、撮影用途によって、切り変えながら撮影できるのである。

2つ目は、MFで撮る時、OVFの視差を補正する技術が取り入れられている事である。X100シリーズのOVFは、レンズからの光をミラーやプリズム等で、ファインダーへ導く一眼レフとは異なる。あくまで、ファインダーの位置から見るOVFである。従って、見える範囲と写る範囲に差が出る。いわゆる視差がどうしても出る。

ところが、X100TではMF時に、この視差を補正する技術が使われているのだ。これを富士フイルムでは、リアルタイム・パララックス補正と呼んでおり、かなり優秀な補正が行われているのである。MF派にとっては、大変嬉しい技術と言えよう。

3つ目は、OVFでかつMFで撮るとき、右下にピント位置が拡大表示できるようになっていることだ。これはOVFの上にEVFの画像を一部表示させているもので、電子式レンジファインダーと名付けられている。

OVFを使いながらも、ピント位置が拡大することは、従来の常識にはない。また、ピーキング機能まで使えるので有難い。OVFでかつMFで撮りたい。そう言う人は結構多いはずだ。そんなカメラ好きのピント調整をしっか補佐してくれる機能が付いているのである。

「MY X100T」

このように、X100Tはファインダーに、徹底的に拘って造られている。特にOVFでかつMFで撮ることを前提にしていると言えよう。そう考えると、レンズの外側にネジを切り、レンズを極力短くしている事も理解できる。レンズが長いとOVFの視界を邪魔することになるからだ。

その意味では、フードを付けると、視界の邪魔になるので、元々フードを付けないことを前提にしているように思える。もし、フードを付けるならEVFで撮影する方が見やすい。

OVFでかつMFで、撮影範囲フレームで撮影範囲を確認しながらシャッターを押すことは、視界の中からベストな所を切り取る感覚がすると、往年のカメラファンは言っている。私の場合、年齢的には往年のカメラファンに近いものの、フイルム全盛期に、カメラにハマったことがないので、残念ながらその感覚がない。しかし、X100Tに使い慣れてくれば、やがてベストな個所を切り取る感覚が身につくのではないか、と期待しているところだ。

X100Tは、OVFに拘った35mmの単焦点カメラである。まさに、カメラオタク向けカメラと言えよう。単に綺麗な写真が撮りたい人には勧められない。カメラについて深く知りたい、勉強したい人にはおススメしたいカメラの一台である。

さて、このレビューは、とりあえずこれで終わり。まだ、使い始めて短期間なので、その内、改善要望などを含め、再度レビューできればと思っている。

「レビュー その1」    「レビュー その2」    「レビュー その3」


『神代植物公園(X100T スタンダード)』




「デジカメ生活を見る」


2015年2月13日金曜日

FUJIFILM X100T レビュー その3


今回は、X100Tの画質についてプレビューしよう。富士フイルムのカメラは、JPEGで撮るとき、基本スタイルをフイルムシュミィレーションの中から選択して決める。X100Tでは、11種類の中から選択できる。私はROVIA/スタンダード、Velvia/ビビッド、クラシッククロームをブラケティング機能(同時3枚記録)でよく使う。

では、ブラケティングで撮った3つの画像を紹介しよう。また、4枚目には、LUMIX GH4のスタンダードの画像も載せたので、比較してみて欲しい。(発色の違いがわかるようように、赤い郵便車を撮影してみた。運転者の方ご容赦!)

「X100T スタンダード」

「X100T ビビット」

「X100T クラシック」

「GH4 スタンダード」


これを見ると富士フィルムが、フイルムシュミィレーションで、記憶色、またかつてのフィルムの発色を追求していると言っていることがよくわかる。X100TのスタンダードとGH4のスタンダードちょと似ているが、微妙に異なる。郵便車の赤色はGH4が明く、空の青色はX100Tの方がかなり青い。この青は、意図的な発色に見えるが嫌みな色ではない。まさに記憶色といえよう。

もう一例、自然風景に近いものをアップしてみた。LUMIX GH4にはクラシッククロームはないので、風景で撮ってみた。

「X100T スタンダード」

「X100T ビビット」

「X100T クラシッククローム」

「GH4 スタンダード」

「GH4 ビビット」

「GH4 風景」


X100Tは全体的にコッテリした画質に見える。そして、GH4よりコントラストが明らかに強い。コントラストを強調した絵作りと言えよう。GH4のビビットはかなり派手かなと思っていたが、実はX100Tの画像に一番近いように思える。

次に、X100T、GH4、5Dm3のスタンダード画像を比較してみよう。


「X100T スタンダード」


「GH4 スタンダード」


「5Dm3 スタンダード」


「X100T スタンダード」


「GH4 スタンダード」


「5Dm3 スタンダード」


2種類の画像を見ると、それぞれの露出傾向が見えてくる。5Dm3は、使っていて思うとおりで、ややアンダーな露出傾向が出ている。GH4は、2枚ともやや明るめで、現実に近いが、やや淡白な写りに見える。X100Tの1枚目は一番適正に見えるが、2枚目は一番アンダーになっている。

発色傾向をみると、X100Tと5Dm3が曇り空を青くしようとしている傾向が見え、記憶色を追求しているように思える。古くからのカメラメーカーの考えを垣間見る気がした。

X100Tは、まだ撮影枚数が少ないものの、こってりとしたメリハリのある画像が得られると言える。フイルムシュミィレーションによって、異なる部分はあてっも、基本のメリハリある画像は変わらない。それは、メーカーの発表どおり記憶色とフィルムの発色を追求した結果であり、古くからのカメラファンには嬉しい風合いだろう。

その3の最後に、新しく搭載されたクラシッククロームを使い好みの発色で撮れた2枚をアップしよう。

「クラシッククローム」

「クラシッククローム」


実は、ちょと期待したクラシッククロームなのだが、思ったとおりの色合になかなかならない。期待が強すぎたのかもしれない。X100Tで撮った写真の内、この2枚が私が想像していたクラシッククロームになっている。あまり強いクラシッククロームにすると、画像フェクトになるので、メーカーはそれを避けたのだろうか。いずれにせよ、撮り方使い方を研究してみたい。

さて、X100Tのレビューは、3回で終わる予定であったが、機能などについて踏み込めていないのでもう1回追加する予定である。

「レビュー その1」  「レビュー その2」     「レビュー その4」

『多摩川の詩(X100T スタンダード)』


「デジカメ生活を見る」


2015年2月5日木曜日

FUJIFILM X100T レビュー その2


実は、昨年9月にドイツで開催された「フォトキナ2014」に合わせて、各社から発表されたカメラの中に、FUJIFILM X100Tがあったことに気が付いていなかった。私の眼は、LUMIX LX100やライカD-LUX Typ109を見ていたのだ。実際、有明のパナソニックセンターへ足を運んで、LX100の感触を確かめていた。

そして、概ねLUMIX LX100に決めた頃、FUJIFILM X100Tが発売される事を知った。X100シリーズは、平成11年3月に初代のX100が発売されてから、クラシックなデザインに心が止まり、量販店でよく手に取っていたモデルだった。

LUMIX LX100とFUJIFILM X100Tは、シャッタースピードと露出補正ダイヤルを備え、レンズ回りに絞りリングを配したモデルである。共にかつてのフイルムカメラの操作性に拘っている。

異なるのは、撮影素子の大きさとレンズの焦点距離。LX100の方がズームレンズなので利便性は高い。しかし、私が選択したのは、よりマニアックな単焦点のX100Tである。やはり、デザインに心を奪われていのだ。また、LUMIXファンではあるが、FUJIFILMを選択しても、コンパクトカメラなら、レンズが増えず散財にはならないと判断したのである^^;

カメラは車に似ていると思う。スペックとデザインが買う重要な基準になるからだ。また、買うと何らかのドレスアップをしたくなるところも似ている。ただし、個人的にカメラは、実用中心で使ってきたので、ほとんどドレスアップしていない。スナップ中心に使うLUMIX GM1やGX7にボディケースを付けている程度である。

X100Tにもボディケースやフードくらいはと考え、装着しているので、それを紹介をしておこう。まず、フードから。
X100Tのレンズは、先端内側にネジ切りがされていない。逆に外側にネジ切りがされていて、そこにフロントリングが付いている。


まずレンズの先端外周にあるフロントリン
グを回して外す。

フードのセットは、アダプターリングとフードは
分けられる。リングの外周にフードをはめる構
造になっている。
「フロントリングを外したところ」

「アダプターリング(左前)とフード(右奥)」


アクセサリーのフードを買うと、アダプターリングはセットで付いている。アダプターリングだけでも販売されている。アダプターリングがあれば、フードだけでなく、レンズ保護フィルターも付けられる。だし、純正品は値段が高い。FUJIの直販サイトで、フードのセットが、10,286円(税込)、アダプターリングが3,601円(税込)もする。私は行きつけのカメラ屋で無傷の中古品をGETした。半額以下だった^^;


外したレンズ外周のネジ切りに、アダプタ
ーリングを回し込んで付ける。
アダプターリングの外周にフードを回しこん
で装着する。
「アダプターリングだけを付けた状態」


「フードを付けて完成、なかなかカッコいい」


ご覧のとおり、純正のフードを付けると、一層カッコよくなる。だだし、ちょと出っ張る。そこで、他にないものかと探してみると、エツミのインナーフードが付けられることがわかった。これだと約3,000円くらいなので安くてすむ。買って装着して見たが、これもなかなかイケル。ソニーのレンズ用に作られたものなので、同じシルバーでも色が合わない。ちょと眼をつむる必要がある^^;


インナーフードは、フードと先端のキャップ
に分かれている。
インナーフードは、アダプターリングの内側
に回しこむ。キャップもねじ込み式だ。
「インナーフード(左前)とキャップ(右奥)」

「インナーフードを付けたところ、完成」


インナーフードの色には、黒もある。ネットで検索すると黒を付けている人もいた。なお、形を見てケラレを心配するかもしれないが、試してみたところ、全くケラレは出ない。効果も純正タイプと同じくらいだと思う。

次にボディケース。X100シリーズのボディケースは、クラシックなデザインのカメラなので、革製品の加工をしている様々なメーカーから発売されている。なかなかカッコイイものもある。ただし、値段が高く数万円はする。
そこで価格が比較的安い純正のものを買った。純正は、1万円程度で全体が覆える構造になっている。黒と茶があるが、茶の色味が好みでなかったので、黒をチョイス。売れ筋は茶らしく、黒はヨドバシにも置いていなかった。注文して取り寄せた。


ケースは下部と上部に別れている。 上部は後から被せるようになっている。
「下部ケースを付けた状態」

「上部ケースはマグネットで止まる」


装着して見ると、なかなか渋くて正解だと思っている。革の質や縫合など細かい部分を見ると、値段相応の感じで、高級感はイマイチ。付属のストラップもちょと硬い。まあ、使い込めば風格がでてよくなるだろうと期待している。

なお、このケースは、アダプターリングを装着して保護フィルターやフードを付けると、上部を覆う側が付けらない。一切のフードなしの状態でないと上部カバーは付けられないので注意が必要であ。私の場合は、面倒だが撮影地に着いてから必要に応じて、フードを付けるようにしている。
ボディ全体を覆えるケースは、鞄やザックの中でも、他のものによってキズが付くのを防げるのでなかなか良い。かなり無骨だが^^;

最後にホットシューカバーを紹介しよう。X100Tのホットシューは、むき出しのままである。LUMIXでは、始めからカバーが付いているが、FUJIでは付属していない。別売でホットシュに装着するサムレストが発売(約1万円)されているが、私は数百円のニコンのカバーを付けた^^;
たぶん他のメーカーのものでも取り付けられると思う。


「むき出しのホットシュー」

「ホットシューカバーを装着」


ホットシューカバーを要らないと言う人もいるだろう。実用上は無くても問題ないと思う。気にするか、しないか、また好みの問題だろう。

ネットで「X100 ドレスアップ」で検索すると、沢山の事例が出てくる。X100シリーズは、撮る楽しみの他に、飾る楽しみも備えたカメラと言えるだろう。私は、ドレスアップを趣味的にやるつもりはない。実用性の上であった方がいいものは取り入れたいと思っている。

純正品のアクセサリーとして、テレコンバージョンレンズも発売されている。他のブログを見ると、持っている人も多い。私はLUMIXで買ったことがあるものの、結局あまり出番がなかった記憶があるので、今のところ買う予定はない。35mm単焦点だけで行こうと思っている。

 「レビュー その1」   「レビュー その3」     「レビュー その4」

『夕方の東京駅(by X100T)』


「デジカメ生活を見る」