2015年12月13日日曜日

SLIK 3WAY雲台 SH-837 HD レビュー


10月初め、SLIKの3WAY雲台 SH-837 HDを買った。SH-837 HDは、動画対応の3WAY雲台である。最近のデジタルカメラの機能に合わせ、静止画と動画の撮影ができるように開発されたものだ。これを買おうと思った時、使い勝手を知りたくて、ネット上でレビューを探したが、検索に引っ掛からなかった。ハッキリ言うとあまり売れていないのかも知れないが、現段階での私の使い方にマッチしているので、レビューを書く事にした。

SH-837 HDの上に装着したGX8+Eos400mm/F5.6』

私の買った雲台は、これで4個目になる。カメラ自体を選択するのも大変だが、周辺機器を選ぶのも結構大変である。

約10年前、デジカメを初めて買う時、量販店のカメラ売り場で、大きな一眼レフや三脚などに触りつつ、たとえカメラに凝ったとしても、こんな大きな一眼レフや三脚など絶対に使わない、買わないぞと冷ややかに見ていた事を思い出す。

それが今や車には、カーボン三脚、小型三脚、ミニ三脚、1脚、ビデオ雲台、自由雲台等が積まれ、防湿庫にはフルサイズ一眼レフを筆頭にマイクロ4/3機数台、コンデジ、交換レンズがゴロゴロしている。つい昔を思い出し、自嘲してしまう今日この頃である。

今回、SLIKの3WAY雲台「SH-837 HD」を買ったのは、次の3条件をクリアできると思ったからである。

1.動きモノを追う事ができるよう、動きに一定のテンションをかける事ができ、そのコントロールもできること。
2.大きいカメラやレンズを装着しても、構図を決め、ネジを締めてから、お辞儀をしないこと。
3.大きさと重量が持ち運びの負担にならないこと、かつ価格が安いこと。

簡単に言えば、野鳥の飛翔シーン撮りに使え、かつ風景撮りにも使えることである。実際に使ってみて、かなり満足度が高い。特に飛翔シーンが撮りやすくなった。

『雲台の詳細 1』(クリックで拡大)


『雲台の詳細 2』(クリックで拡大)



これまで使っていたビデオ雲台は、テンションが掛っていても調整できないタイプだったので、テンションが掛り過ぎて、自在に野鳥を追う事ができなかった。SH-837 HDは、テンションを一番緩めた状態での動きが軽く、自在にレンズを振る事が出来る。引っ掛かりもなく、実にスムーズに動かすことができる。上の写真のとおり、コントロールツマミは、ティルトとパンの2つがある。調整は、あまり細かくできないものの、野鳥を追うには一番緩めた状態が使いやすい。

私は、野鳥撮りの専門屋ではない。気になるものは、何でも撮る、何でも屋である。気になるものが多いので、野鳥の撮影中でも、急に風景を撮ったりする。そのため、三脚と雲台の間に、SILKのレベリングユニット(写真「雲台の詳細 1」を参照)を入れている。これで水平を出し、SH-837 HDで左右の水平を出しておけば、レンズを360度どの位置にパンしても、水平が保てるので、自在に何でも撮影できる。また、縦撮りも左右の水平を縦90度にセットすれば、360度どの位置にパンしても縦撮りの水平を保つことができるのである。

風景撮りに欠かせない2.の条件であるお辞儀をしない事は、どうかと言うと、ほぼ満足と言っておこう。通常のサイズのレンズであれば、全く問題ない。1Kgを超えるレンズの場合、角度によっては、少しお辞儀をするかもしれないが、大きく動く事はない。固定する締めつけ方式が安定度の高い「コマ締め」ではなく、「割り締め」なので、そこが残念なところである。

SH-837 HDの大きさは、高さが120mmで重量が1020gである。SILKの動画対応3WAY雲台では、一番大きいが、一般の3WAY雲台としては、中の大きめクラスと言えよう。価格は、希望小売価格が22,000円、実売では15,000円前後である。私は楽天で、これよりかなり安く買ったので、財布に優しい雲台と言えよう。

世の中には、先に挙げた1.と2.の条件をクリアできる優れた雲台が沢山ある。大型のビデオ雲台であれば、テンションのコントロールも自在にできる。また、最近は、ジンバル雲台やアルカスイス雲台も野鳥撮り用に人気がある。大型の大砲レンズを使うなら、大きくて、重くて、高額なこれ等の雲台が必須である。

しかし、私のように全重量が3Kgに満たないカメラとレンズを使うのなら、SH-837 HDは、コストパフォーマンスに優れた雲台である。飛翔する野鳥はもちろん、鉄道や飛行機の動きモノ、静止画、動画などの撮影に幅広く使えると思う。興味をもたれた方は、一度、カメラ店で手に取って作動を確かめて欲しい。以上^^;

『ユリカモメの飛翔(SH-837 HD使用)』



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2015年11月1日日曜日

LUMIX DMC GX8 レビュー その3


GX8を買って1ケ月ちょっと経過した。デザイン、写り、操作性など、かなり気に入っている。初めて見た時は、大きくてちょと武骨に見えたものだが、使う程に手に馴染み、いいカメラであるとの思いが深まっている。

何が一番気に入っているかといえば、AFの進化である。画像処理エンジンや空間認識AFは、GH4と同じシステムを搭載しているようであるが、AFは明らかにGH4より早い。ハードは、GH4と同じでもチューニングが新しいからだと思う。内容は、レビュー1と2で書いたとおりだ。

GX8は、レンジファインダー機に、ちょと大きめのグリップを付けたデザインをしている。レンジファインダータイプのカメラは、スナップ、テーブルフォト、ポートレートなどに使うイメージが強い。実際、GX8のコンセプトは、ストリートフォトグラフィである。私も大まかにそういう認識でいた。

ところが、GX8にボーグのレンズを付け、野鳥撮りに使っている方のブログに接し、考え方が変った。大き目のボディ、可動式EVF、防塵防滴であることを考えると、デザインに囚われることなく、自由に使えばいいのだと思う。下記の左写真は、三脚を使って野鳥撮り用にキヤノンの大きいレンズ(EF400mm F5.6)を、KIPONのアダプターを使い付けてみたものだが、違和感はなく新鮮に見える。

「大型レンズも違和感なし」


「ボディケースの装着」



さて、GX8の取扱説明書を読んでいて、気が付いた事が二つある。一つはMモード(マニュアル露出モード)の進化であり、もう一つはクリエイティブコントロールモードのフィルター化である。下記は、GX7からのLUMIX機の発売時期を書き出したものだが、調べてみると、Mモードの進化はGH4から、クリエイティブコントロールモードのフィルター化は、GM5からであった。
()内は発売年月。

GX7(2013/9)⇒GM1(2013/11)⇒GH4(2014/4)⇒GM5(2014/11)⇒GM1S(2014/11)⇒GF7(2015/2)⇒G7(2015/6)⇒GX8(2015/9)

Mモードの進化は、GH4からなのだが、ユーザーでありながら従来どうりだと思い込んでいたので、全く気が付いていなかった。ISOをオートにしておいて、SSと絞りを決めると、適正露出になるようISOを自動的にカメラが設定してくれるようになっていたのだ。

だが、この進化も今となってはもう古い。FUJIFUILM機等では、これに加え露出補正が出来るのである。つまり、露出補正をしても、ISOを自動的にカメラが設定してくれるのだ。是非、LUMIX機でも露出補正が出来るようにバージョンアップをして欲しい。

もう一つクリエイティブコントロールモードのフィルター化とは、P、A、S、M、動画等のモードで使えるようになったことである。昨年秋に発売されたGM5から搭載され、モードダイヤルをクリエイティブコントロールにしないで、P、A、S、M、動画等のモードから撮影メニューでフィルター設定を呼び出して使うものである。設定によって、フィルター効果なし画像の同時記録もできるので大変便利である。ただし、フィルター効果なしの画像は、種類を選べない(たぶんスタンダードに固定)のが残念である。

「フィルター設定の入口画面」


「効果なし画像の同時記録も選べる」



レビューの最後にレビュー1で紹介したカスタマイズについて書きたい。再度、GX8のカスタマイズ性能を紹介すると、Fnボタンは、液晶モニター内を含めて13個もある。ダイヤルは4つだが、後と前のダイヤルは、Fnボタン操作で機能の切替えができるので、6つにできる。また、モードダイヤル内には、5つまでカスタム登録が出来るようになっている。

これだけカスタマイズ機能が多いと、使いきれないと言う人が居るものだが、全く悩む事はない。使う使わないは、ユーザーの自由なので使わなくてもかまわない。ただ、操作に少し慣れれば、使用頻度の高いものを登録すれば、便利になることは間違いない。私は、現在のところFnボタンを5箇所しかカスタマイズしていない。書き出してみると下記のとおりだ。()内はカスタマイズ内容。

〇Fn1:サイレントモード⇒(電子シャッター)
〇Fn2:Q.MENU
〇Fn3:LVF/モニター表示スタイル⇒(ハイライトシャドウ)
〇Fn4:フォトスタイル⇒(クオリティ)
〇Fn5:カーソルボタンロック⇒(AFS/AFF)
〇Fn6:LVF/モニター切換
〇Fn7:プレビュー
〇Fn8:Wi-Fi
〇Fn9:水準器表示
〇Fn10:ヒストグラム表示
〇Fn11:スナップムービー
〇Fn12:4Kフォト
〇Fn13:ダイヤル動作切替⇒(フィルター選択)

簡単に説明すると、Fn1は完全な無音が嫌なので、電子シャッターにしたもの。Fn3は、ハイライトシャドーをGX7からよく使っていて、ここに登録していたので継続させたもの。Fn4は、通常はJPEGのファイン撮りだが、RAW撮りを時々する事、また内蔵テレコンを使う時にクオリティを調整するためである。Fn5は、AFSとAFFの使いわけをよくするためである。Fn13は、ダイヤル操作の切替を現段階では使わないので、フィルターを積極的に使うために配置している。大してカスタマイズしているわけではないが、これだけでもかなり便利になった。

前ダイヤルと後ダイヤルは、初期設定のままである。取扱説明書には、Fn13をダイヤル動作切替で使い、前後ダイヤルで4Kフォトとして使う例が記載されている。一度、例にならってやってみたが、あまり便利に思えなかったので、よく使うフィルター選択を登録することにしたのである。

GX8の撮影枚数は、現在約4,000数である。スリープモードからの復帰も早く、作動も機敏、4Kフォトも使いやすいので、どんどん撮影枚数が増えそうだ。シルバーを買ったので、ブラックをもう一台欲しいくらい気に入っている。

以上でGX8のレビューは終わる。使い込んで行く内に、何か気が付いた事があれば、またレビューを書きたい。


「新宿駅近辺(4Kフォト、ISO6400 )by:GX8」





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2015年10月11日日曜日

LUMIX DMC GX8 レビュー その2

緊急レビュー !
実は昨日、新しく3WAY雲台を買ったので、そのテストを行った。その際、GX8にKIPONの「EF-MFT AF」でキヤノンEF400mm F5.6L USMを装着してみた。その撮影結果が、予想以上に良かったので報告しておきたい。

KIPONの「EF-MFT AF」は、すでに購入後、GH4で所有レンズのテストを行い、結果を下記のリンクページにまとめたとおりである。

KIPONマウントアダプター「EF-MFT AF」を試す

このテストでは、「GH4」+「EF-MFT AF」+「EF400mm F5.6L USM」は、中心のAFポイントだけが有効であった。その後、「EF-MFT AF」は、ファームウェアのアップデート(Ver2.5)がされ、私もアップしていたので、昨日再度、GH4でテストしてみた。残念ながら、GH4では先のテスト結果と同じだった。

「GX8にEF400mmを装着 1

『GX8にEF400mmを装着 2』



ところが、GX8に装着して驚いた。「GX8」+「EF-MFT AF」+「EF400mm F5.6L USM」では、中心のAFポイントだけでなく、全てでAFが効くのである。それも、GH4より早く合焦するのだ。また、4Kフォトでも合焦したので驚いた。簡単にまとめると次のようになる。

〇AFは、AFSの設定で全ての領域で合焦する。中心は特に早いが、周りでもモタツキはなく実用性は高い。
〇AFFの設定では、合焦するもののモタツキがある。実用性は低い。
〇4Kフォト(GX8ではAFSに固定される)でも合焦する。途中で外れることがあるので実用性は低い。

簡単に書くとこうなるが、兎に角、全領域でAFSで撮影できるならかなり使えると言える。下記に撮影サンプルを挙げたので見てほしい。

『撮影画像(縮小)』
『100% 画像』



100%の画像を見ても、EF400mm F5.6L USMの特徴がよく出ており、キレのある画像になっていると思う。

LUMIXとキヤノンを使っている人は、少なからずいると思う。もし、EF400mm F5.6L USMを使って野鳥撮りをしているならぜひ試してほしい。満足できる結果になるはずだ。

来春には、LUMIXでも400mmのEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm/F4-6.3が発売される。実は、EF400mm F5.6L USMを下取りに出して、購入する計画を立てていたのだが、迷ってしまう。まさか、EF400mm F5.6L USMがAFSでこれだけ使えるとは予想外である。しばらく、EF400mm F5.6L USMを使いながら、思案してみたい。


『ヒョウモンチョウ(by GX8)』





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2015年9月27日日曜日

LUMIX DMC GX8 レビュー その1


9月16日にDMC GX8のシルバーを買った。詳しくは、前モデルのGX7とあまり使っていないレンズを下取りに出して、買換えたものである。まだ一週間ちょっとしか経っていないが、1回目のレビューを書いてみよう。

『GX8 正面』

『GX8 背面』


GX8の売りの一つは、「Dual I.S.」と呼ばれるボディ内手ブレ補正とレンズ内手ブレ補正を連動させる機能である。この手ブレ補正は、興味深いものだったので購入前から、量販店等でテストしてきた。この結果言える事は、確かに補正力はアップしているものの、驚くほど超低速でブレ無く撮れるものではないと言う事である。

たとえば、どんなに各社の手ブレ補正が進化しても、手持ちで1秒のシャッタースピードで撮れるようにはならないと思う。1秒の設定でシャッターを切ってみると解るが、1秒は驚くほど長いのだ。この長さに気付くと、ブレないことの不可能さが理解されるだろう。

この事に気づいてから、「Dual I.S.」の効果を検証することを止めてしまった。手ブレ補正は、個人のクセや色々な要素が絡むので、効果を言い表すのが難しいのである。GX8は、これまで以上に手ブレ補正されるのだと、理解することにして、低速での撮影は、これまでどおり三脚を使うつもりである。

さて、まだ500枚程度しか撮っていないが、高く評価している点を挙げて書いてみたい。

〇大きさとグリップ
これには、なぜ大きくしたのだとの批判がかなりある事を承知の上で挙げた。GX7では、35-100や100-300を付けると、ちょとバランスが悪かった。ところが、GX8にこれ等のレンズを付けても違和感がない。納まりがいいのだ。

センサーが小さいから、ボディも小さくすべきだとの論理には賛成しない。パナソニックでは、小さく造る技術があることは、すでにGMシリーズで証明している。カメラは、用途にあった大きさにすべきだろう。ただ、LUMIXには、かつてのGF1やGX1くらいの大きさのカメラが無くなったのは事実であり、その大きさのものが造られれば喜ぶユーザーは多いと思う。

GX8のグリップの形は、ボディデザインに合っており、指を添えやすい。また、ボディケースを付けたものに量販店で触ったことがあるが、鷲づかみでグリップできるようになる。大きなグリップが好きな方は、ボディケースの装着を勧めたい。

『100-300でも似合う』


『X100Tより少し大きい』


〇ファインダー
GX8のファインダーは、LUMIX史上最高のものが付いていると思う。表示倍率も35mm判換算で0.77倍であり、一眼レフの高級機をしのぐ大きさである。これ以上大きくすると、ファインダー内を一目で覗けなくなるほど大きい。発色も自然であり、色の破たんも無いと思う。デフォルトでは、Fn3と兼用の「消去/戻る」ボタンに表示切り替えが割り振られており、押すとモニタースタイル(0.77倍)とファインダースタイル(0.7倍の切り替えができる。

〇4Kフォトの使い勝手
4Kフォトは、GH4から搭載された動画機能を使った連写である。G7より連写の一つとして位置付けられており、使い勝手がよくなった。使い方には、4K連写、4K連写(S/S)、4Kプリ連写があり用途によって使いわけができる。GH4と比較して特によいと思う点は、カメラ内で再生して写真を選ぶ機能が使いやすくなったことである。カメラ内で選択する時、拡大表示ができるようになったので、ピント確認が容易になった。

〇4KフォトのAF
GH4では、4KフォトのAFが通常の静止画より遅く、使い勝手がよくなかった。特に私が4Kフォトでよく使っている100-300mm/F4.0-5.6は、仕様が古くAFが遅かった。かなり辛抱強く使う必要があった。それが先日、GX8のテスト撮影では、驚くほど早く合焦したのだ。ちょと眼を疑うほど早いのである。すっかり驚いてしまった。素晴らしく進歩しているのだ。

〇カスタマイズ性能
ほとんどのLUMIX機は、上位機種ほど各種操作をFnボタンやダイヤル等で、ユーザーの好みに応じて設定できるようになっている。使い勝手に優れた機種が多い。GX8に触ってみると、正にこのカスタマイズ性能高いのである。Fnボタンは、13も用意されているのだ。

ダイヤルでは、露出補正ダイヤルが始めから設けられているし、前、後ダイヤルもあり、各種設定ができる。また、後ダイヤルの上のFn13ボタンには、ディホルトでダイヤル操作切換えが割り付けられており、ダイヤル操作を更に増やすことができようになっている。

まだ私は、これ等カスタマイズは、途中段階である。よく使う操作を、何処に割り付けるか、考えるのも楽しいものだ。もうしばらく使いこんでから、決めたいと思う。

以上で1回目のレビューを終わりたい。

【舞い降りる光】



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2015年8月2日日曜日

気になるレンズLEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm/F4-6.3


7月16日、パナソニックは、噂になっていた超望遠レンズの開発を発表した。

『LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm/F4-6.3』



数週間前に、パナソニックが400mmの超望遠レンズを開発していると言う噂がネット上に流れた時は、半信半疑であった。何しろ、4/3センサーは、望遠側に有利フォーマットなのに、100-300のズームレンズが一本あるだけで、他に望遠レンズの開発をしてこなかったからである。単なる噂だろうと思っていた。

やっと今回 LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm/F4-6.3の開発発表で、LUMIX機での野鳥撮りへ期待が膨らむ。カメラを始めた動機が、野鳥撮りだったので、FZ30 ⇒  FZ50 ⇒ Eos40D
⇒ Eos7D ⇒Eos5DmⅢ、GH4(GH3)と使ってきた。発表されたこのレンズがどれだけ使えるか未知数だが、発表どおり手持ちで撮れるなら、メインになり得る。

詳細なスペックは発表されていないものの、下記に発表内容の要点書き出してみた。

〇240fpsの高速AF制御
〇LEICA DGレンズ
〇光学式手ブレ補正「POWER O.I.S.」搭載
〇防塵・防滴
〇35mm換算最長800mm
〇超望遠撮影においても三脚なしでの手持ち撮影が可能

これを見ると、なかなか魅力的である。ネットの掲示板でも概ね好評な書き込みが多い。中には、望遠側F6.3に対する不満もある。私もF6.3はちょと残念に思う。F5.6までにして欲しかったと思う。ただ、シグマやタムロンの超望遠ズームは、望遠側F6.3なので何とか実用できる値だろう。

ただし、4Kフォトや野鳥の飛翔シーンで使う場合、高速SSで撮ることが多いので、F6.3では高感度になる可能性が高い。日中ならいいが、早朝や夕刻などのやや暗い場面での使用は難しくなりそうだ。

日中での撮影シーンを考えると、35mm換算最長800mmを手持ちで撮影できるメリットは大きい。現在、私が持っている望遠レンズは、キヤノンのEF400mm F5.6L USMである。手ぶれ補正はないものの、素晴らしい写りをする。LUMIX機でも、KIPONのアダプターを使えば、中心のAFポイントでは、AF撮影ができる。

LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm/F4-6.3が発売されると、EF400mm F5.6L USMとどちらを野鳥撮りに使うか迷いそうだ。LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm/F4-6.3の写りや操作性の評価を見極めたい。たぶん、EF400mm F5.6L USMを下取りに出し、LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm/F4-6.3を買う事になるだろう。

【白鷺の飛翔(4Kフォト)】



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2015年7月23日木曜日

LUMIX DMC GX8に触った


7月16日、パナソニックが噂になっていたLUMIX DMC GX8を発表した。言うまでもなくGX8は、現行機種GX7の後継機主である。発売は8月20日だと言う。

GX7の発売が2013年9月12日だったので、ほぼ2年経つことになる。GX7は、GX1から、間の番号を飛ばしていきなりGX7になって、ネットの各種掲示板で大騒ぎになった。そのことが懐かしく思い出される。月日の経つのは早いと思うと同時に、デジカメの機種回転の早さに驚く。

『GX8(ブラック)正面』


『GX8(シルバー)正面』



最近のパナソニックは、新機種発表の後、直ぐに東京と大阪のセンターに、実機を展示してくれるので有難い。G7の展示も早かったが、今回のGX8も17日から直ぐに展示を始めていた。私は、思い立って18日に東京のセンターへ行って、実機に触ってきた。聞くところによると、大手量販店などでは、17日からモックアップを展示していると言うので、パナソニックの力の入れ方がわかる。

手に取って操作した時間は、30分に満たない程度。それでも、いろいろ感じるものがあった。では、ファーストインプレッションを始めよう。まず、主な仕様を書き出してみたい。

〇画素数:2030万画素(有効画素)
〇センサーサイズ:4/3型LiveMOS
〇撮影感度:通常:ISO200~25600 拡張:ISO100
〇手ブレ補正:センサーシフト方式(ボディ内補正とレンズの補正を連動。呼称:「Dual I.S.」)
〇シャッタースピード:1/16000~60秒(機械式:1/8000)
〇ファインダー:チルト式、アスペクト比 4:3 / 約236万ドット 有機EL(OLED)
〇ファインダー視野率:約100% / 約1.54倍(35mm判換算:約0.77倍)、倍率変更可
〇シャッター:フォーカルプレーンシャッター(電子シャッターあり)
〇連写:約8コマ/秒(AFS時) / 約6コマ/秒(AFC時) ライブビューでは約6コマ/秒
〇4Kフォト:4K連写、4K連写(S/S)、4Kプリ連写: 30コマ/秒
〇液晶モニター:3:2 / 3.0型 / 約104万ドット、フリーアングルモニター / 静電容量方式タッチパネル / 約100%
〇動画:AVCHD/AVCHD Progressive/MP4
〇ボディ寸法:133.2x77.9x63.1 mm
〇ボディ構造:マグネシウム合金、防塵・防滴
〇総重量:435g(本体のみ)

この仕様の中で、特筆すべきは、ボディ側とレンズ側の補正を連動させる、世界初のコントロール手ブレ補正システム、「Dual I.S.」を搭載している事である。2年前に、GX7にボディ内補正が搭載された時、何時かレンズ補正とボディ補正を連動させる事が起こるだろうと思っていたが、GX8でこれを実現したことは、実に素晴らしい。盛大な拍手を送りたい。

パナソニックのHPの記載を読むと、手ぶれ補正角を最大で3.5倍にアップしたとある。また、発表会では、手持ち1/10秒で撮影した滝の写真が展示されていたというから、かなり強烈な手ぶれ補正が可能なようで、嬉しくなる。

『GX8とGX7 大きさ比較』

それでは、手に取って見た感想を書こう。まず、大きさである。確かに巷間言われているように、GX7から見ると、大きくなった。GX7(122.6x70.7x54.6mm)と大きさを比較すると、横幅で10.6mm、高さで7.2mm大きくなった。なお、見た目で言えば、シルバーは、膨張して見えるので、更に大きく見える。

この大きさの理由は、開発者に聞かなければ解らないものの、手ぶれ補正機構の「Dual I.S.」を搭載したことに原因があるとは思えない。超小型のGMシリーズでは、グローバルに売れないので、大型化を選択したように思える。特に市場規模が大きく、大型カメラが好きな中国やアメリカに合わせたのではないかと思われる。

また、発表会のレポートを読むと、パナソニックでは、自社一眼カメラを「ストリート・フォトグラフィー」と「ハイブリッド・フォトグラフィー」に分類すると言う。そして、「ストリート・フォトグラフィー」のフラッグシップ機がGX8だと発表しており、ボディを大きくしたのは、フラッグシップ機に相応しいものにするためだったとも考えられるのである。

手に取って見た質感やデザインはなかなか素晴らしい。GX7と比べると、ボディ下部全体が、革張りにされた。更に、フリーアングルモニターの裏面までも革張りされたのだ。また、GX7と比べると、レンズの位置がボディの中心側にあるので、正面から見たバランスもよい。レンジファインダー機のように見えるし、ライカのカメラに似ている。

ダイヤル類は、全部で4つある。モードダイヤル、露出補正ダイヤル、前ダイヤル、後ダイヤルである。モードダイヤル、露出補正ダイヤルは2段重ねになっている。露出補正ダイヤルが独立しているので、前と後のダイヤルに好みの機能を割り当てることができる。また、後ダイヤルの中心にあるボタンを押せば、更に機能の変更が出来るようになっていて、これまで以上に、自分好みにカスタマイズが出来るのだ。上級機の名に恥じない充実ぶりである。

『GX8背面』


『GX8上面』

細かい点を言えば、ファインダーは、チルト式でルミックス史上最大の大きさであり、かなり見やすい。また、35mm換算の倍率0.77倍と0.7倍を切り替えて使用できる。1点AFの大きさもGX7と異なり、GH4のようにかなり細かく調整ができるようになっていた。4Khotoについても、G7と同じく3つのモードが用意されているので、何ら不満はないと思う。

残念ながら画素数がアップしたセンサー性能については知りようもない。2,000万画素に増えたので、高感度耐性が劣るのではと心配もあるが、聞く所に寄れば、画素数は増えても高感度のノイズは減っていると言う、嬉しい情報もある。いずれ、Web上にサンプル画像や評価が出てくるだろうから、見極めたいと思う。

新しい手ブレ補正の「Dual I.S.」を使うには、レンズのファームアップが欠かせない。発表会では、GX8発売時までに、6本のレンズをファームアップし、その後、2015年度年内に9本のレンズを順次ファームアップすると公表されている。詳しくは、下記の表のとおりだ。(GX8発表会の公表データより転記)。

GX8発売までにアップされるレンズ
2015年度内に順次アップされるレンズ
LUMIX G X VARIO 12-35mm/F2.8 LUMIX G VARIO 12-32mm/F3.5-5.6
LUMIX G VARIO 14-42mm/F3.5-5.6 Ⅱ     LUMIX G VARIO 35-100mm/F4.0-5.6
LUMIX G VARIO 14-140mm/3.5-5.6 LUMIX G VARIO 35-150mm/F4.0-5.6
LUMIX G X VARIO 35-100mm/F2.8 LUMIX G 42.5mm/F1.7
LUMIX G MACRO 30mm/F2.8 LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm/F2.8
LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2 LUMIX G X VARIO PZ 14-42mm/F3.5-5.6

LUMIX G VARIO 14-42mm/F3.5-5.6

LUMIX  G VARIO HD 14-140mm/4.0-5.8

LUMIX G X VARIO PZ 45-175mm/F4.0-5.6  

更に、4Kの連写機能を使った「フォーカスセレクト」機能を将来のファームウェアアップで実現するという。どれほど実用性があるのか解らないものの、先々の機能追加まで約束されているので、嬉しい。パナソニックの意気込みが感じられ、期待して待ちたいものだ。

これまでのLUMIXのカメラは、「女流一眼」と言うキャッチコピーを生んだように、女性を意識したものが多かった。ところが、GX8はこれまでの流れと異なり、大きく重くなり、一見すると武骨に見えるものになった。一言で言うと、男気カメラと言えよう。ただし、こうした男性的なカメラを女性が持っても可笑しくない。可愛いカメラより、こうしたカメラを好きな女性も大勢いることだろう。

私はGX8のデザインは、悪くないと思う。各要素を上手く組み合わせたものだと感心する。よって、GX8を買う事に決めた。ただし、GH4、GX7、GM1、LF1とLUMIX機がコンデジまで入れると4台もあり、これに他社フルサイズ一眼、APS-Cコンデジもあるので、整理をしないと買い切れない。悩ましい限りだ。

カメラは、嗜好品なので使うほどに愛着が深まる。いざ、これとこれを売って等と考えるのが辛いのである。また、この後に続くだろう、GMやGH4の後継機種も気になる。たぶん、発売後直ぐにはGX8を手に入れられないだろうと思う。どこまで我慢できるかも自信がない。しばらく手持ちカメラの整理で悩むことが続きそうだ。

※7月24日、記載内容の修正と加筆をしました

『坂の上の家々』




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2015年7月5日日曜日

KIPONマウントアダプター「EF-MFT AF」を試す


今年4月中旬、マウントアダプターを販売している焦点工房が、KIPONの「EF-MFT AF」と言う画期的なアダプターを発売すると発表した。このアダプターは、マイクロフォーサーズカメラで、キヤノンのEFレンズ及びEF-SレンズのAFと手ブレ補正の動作、Exif情報を伝達するもので、世界初とKIPONが言うものであった。

この事を知って、キヤノンとLUMIXの一眼を使っている私は、即座に使ってみたいと思い、情報収集と同時に予約を入れた。ネット情報では、予約が多くて手に入れることが難しい記述があったものの、6月末に手に入れる事ができた。

『EF-MFT AF(左は入れもの、右が本体)』



行きつけのカメラ店で手に入れたのだが、どういう訳か焦点工房が楽天等で販売している価格より数千円安かった。
「EF-MFT AF」はずべてのレンズに万能ではない。焦点工房では、オリンパスとパナソニックのカメラで動作確認をしたレンズについて、HPで案内をしている。興味のある方は、下記のページで動作確認済みレンズリストのPDFファイルを開いて欲しい。

焦点工房(EF-MFT AF)

さて、私も所有しているEFマウントのレンズについて、LUMIX GH4に装着してチェックしてみた。ここの所、LUMIXの出番が多く、EFマウントレンズは増えていない。5DMⅢを買った時にEF-Sレンズは処分したので、むしろ減っている。増えない理由は、価格が高いことも大きな要因である。何しろ最近発売されているEFのLレンズは、20万円級ばかりなのだ。一般サラリーマンが手を出せる範囲を超えている。愚痴は、これくらいにして、所有しているレンズの作動結果を挙げよう。

レンズ名
AF作動
MF操作
備    考
EF24-105mm F4L IS USM
作動遅い、絞り・SS調整可能
EF400mm F5.6L USM
〇(注)
作動普通、絞り・SS調整可能
EF8-15mm F4L フィッシュアイ USM
作動遅い、絞り・SS調整可能
タムロンSP AF90mm F/2.8 Di MACRO
×
絞り、SS調整可能
タムロンSP AF 180mm F/3.5 Di MACRO
×
絞り、SS調整可能
タムロンSP 70-300mm F/4-5.6 Di VC USD
×
絞り、SS調整可能

(注):中心のAFのみ、ピントが合う。周辺は合焦しても、ピントが合っていない。

この表のとおり、タムロンレンズのAFは全部ダメだった。秘かにマクロレンズが動いてくれることを期待したのだが、残念な結果になった。ただし、MFでは十分に使える。電子接点があるので、絞り調整もSS調整も可能だ。これまで使ってきた電子接点のないアダプターでは、開放側でしか使えなかったが、かなり自由度が高まったと言えよう。


『テスト中』

『EF-MFT AFの装着



EFレンズは、流石にすべて作動した。ただし、EF24-105mmもEF8-15mm F4L フィッシュアイも作動は遅めである。ミラーレスカメラが発売された当初のAFは遅めであったが、その作動のスピードくらいだろうか。AF全域でほぼ同じくらいのスピードで作動するので、何とか実用性はある。

EF400mm F5.6L USMは、一番古いレンズなので動かないだろうと思っていた。ところが、これが一番早く作動した。これには、驚いた。ただし、撮影した画像を見ると、中心のAFで撮ったものだけがピントが合っていた。周辺はAFが合焦しても、実際の画像はピンボケであった。中心部だけで使うなら、十分実用性がある。

なお、連写は、AFSであれば、秒6枚くらいの速度で動く。AFFで少しだけ動き、AFCでは全く作動しない。AFFとAFCで実用性はない。

EF400mmの中心AFで撮影したトンボ』

『ピント位置の等倍画像』



テスト結果をまとめると以上のようになる。所有しているレンズが、古いものなので、仕方のない部分はあるが、よくぞAF作動を実現させたものだと感心した。焦点工房の作動確認を見ると、新しいレンズほど、結果がいいようだ。KIPONは、中国のメーカーであるが、よくぞ作ったと拍手を送りたい気持ちだ。装着した時のガタツキもないので、かなり精度が高いと思う。

こうした電子接点を持つアダプターは、ユーザーにとって大変ありがたい。今後こうしたアダプターが、各社から発売され、AF精度やスピードを競うようになれば面白いと思う。そうなれば、ユーザーは複数のマウントのカメラを自由に味わえるようになるからだ。

ただし、カメラメーカーが自社のカメラやレンズを守るため、電子接点のあるマウントアダプターの装着をさせない対策をすると困ってしまう。各カメラ、レンズメーカーには、そんな事をしないようにお願いをしたいものだ。

『蓮一花』




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2015年6月28日日曜日

気になるカメラLEICA Q(Typ 116)


久々に気になるカメラが、6月11日に発売された。それは、LEICA Q(Typ 116)だ。初めに発売予定のニュースで、デザインを見た時から心に刺さっている。どういう訳か、背面のデザインを一番気に入っている。

『LEICA Q の正面』
『LEICA Q の背面』

確実に言える事は、50万円を超えるライカ価格なので、とても買えるカメラではない。それでもスペックや操作性がよいとの記事を読むと完全に心が奪われてしまう。


LEICA Qは、35mmフルサイズセンサーを積んだレンズ固定式のカメラだ。いわゆる高級コンデジのジャンルに入る。他に35mmフルサイズを積んだレンズ固定式カメラには、ソニーDSC-RX1があって、人気機種なのだが、私の心は動いたことがない。

LEICA Qのスペックを上げると次のとおりだ。

〇画素数:2420万画素(有効画素)
〇センサーサイズ:24×36mmフルサイズCMOS
〇撮影感度:通常:ISO100~50000
〇レンズ:ライカ ズミルックスF1,7/28mm ASPH., 9群11枚、非球面レンズ3面
〇クロップ機能:35mm相当が約1,500万画素、50mm相当が約800万画素
〇手ぶれ補正:光学式
〇シャッタースピード:1/16000~30秒
〇シャッター機構:30秒~1/2000秒(機械式)、1/2500秒~1/16000秒(電子式)
〇撮影最短距離:30cm(標準)、17cm(マクロ)
〇ファインダー:電子ビューファインダー(368万ドット)、アイセンサー付き
〇AFシステム:コントラスト検出
〇連写:最高10枚/秒
〇液晶モニター:約104万ドットモニター / タッチパネル
〇動画:FHD 1920x1080p/60fps,30fps、HD 1280x720p/30fps
〇ボディ外装:マグネシウム合金とアルミニウム
〇ボディ寸法:130x80x93mm
〇総重量:590g(本体のみ)

このスペックや実際に購入した人などの感想を見ると、パナソニックの技術が感じられる。ところが、LEICA Qは完全にドイツ製である。

『LEICA Q の上面』


ライカのカメラには、パナソニックが日本で製造しているパナライカと呼ばれるライカブランドのカメラと、ライカ本社が作る純粋なライカカメラに別けられる。LEICA Qは、後者なのだが、これまでの流れとは異なり、パナソニックの技術も入れた新しいコラボ製品であろう。言わば、第三のライカカメラである可能性が高い。

推測ではあるが、パナソニックは、お家芸の非球面レンズの製造を始め、手ぶれ補正、アイセンサー、タッチパネル式液晶モニター、コントラストAF、動画機能などに関わっているように思える。それからバッテリーは、ライカV-LUX(パナソニック FZ1000)と互換性があると言う。

LEICA Qは、ライカカメラの伝統の上に、新しい発想のデザインと最新の技術を載せている。伝統と革新が融合しているのだ。撮影されたサンプル画像を見ると、ライカ ズミルックスF1,7/28mmが描き出すボケと立体感のある描写に心が動く。

現実的には、宝くじにでも当たらないと買えないカメラである。しかし、こうした高嶺の花的な憧れのカメラがあってもよい。カメラは単に撮る道具ではなく、カメラが持つ文化、意味、存在の深さを教えてくれるように思うからである。

『LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm/F2.8による木漏れ日の紫陽花』




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2015年6月14日日曜日

LUMIX DMC G7に触った


6月4日、すでにイギリスで発表されていたLUMIX DMC G7が国内で発表された。G7は言うまでもなく現行機種G6の後継機主である。発売は6月25日だと言う。

Gシリーズは、ミラーレス一眼の先鞭を付けた歴史的機種なのだが、初代G1を除いては、話題性に乏しくあまりパットしたイメージがなかった。果たして今回のG7はどうだろうか?公開されたスペックやデザインを見ると、これまでのGシリーズにあった既存技術の寄せ集めではなく、新たな技術も入れられている。特に定着しつつある4Kフォトのいろいろな機能が充実しているではないか。

『DMC G7 の正面』
『DMC G7 の背面』

最近4Kフォトにハマりつつある身としては、非常に気になる。と言う訳で先日、パナソニックセンター東京へ行って、実機に触ってきた。

すぐに感想を書きたいところだが、主な仕様を書き出しておこう。

〇画素数:1600万画素(有効画素)
〇センサーサイズ:4/3型LiveMOS
〇撮影感度:通常:ISO200~25600 拡張:ISO100
〇シャッタースピード:1/16000~60秒
〇ファインダー:アスペクト比 4:3 / 約236万ドット 有機EL(OLED)
〇ファインダー視野率:約100% / 約1.40倍(35mm判換算:約0.7倍)
〇シャッター:フォーカルプレーンシャッター(電子シャッターあり)
〇連写:約8コマ/秒(AFS時) / 約6コマ/秒(AFC時) ライブビューでは約6コマ/秒
〇4Kフォト:4K連写、4K連写(S/S)、4Kプリ連写: 30コマ/秒
〇液晶モニター:3:2 / 3.0型 / 約104万ドットモニター / 静電容量方式タッチパネル / 約100%
〇動画:AVCHD/AVCHD Progressive/MP4
〇ボディ寸法:124.9x86.2x77.4 mm
〇総重量:360g(本体のみ)

まず、手に取ってデザインをじっくり見た。これまでになく直線を取り入れたちょとクラシックな佇まいになった。オリンパスが取組み、各社に伝播したレトロな角張った面処理を取り入れて来たとも言える。これまでのパナデザインも上手く融合させていてなかなかよい。プラスチックボディながら質感も手触りもよかった。

次に一番気になっていた4KフォトのAFチェック。G7は、GH4の4Kフォトのセッティング方法から変更されていた。背面から見て左側に設けられたドライブモードダイヤルで4Kフォトを選ぶようになっていた。詳細がわからないので、商品説明役の綺麗なお姉さんの説明を受けながら、チェックしてみた ^^

『DMC-G7 上面』




4Kフォトにセットしてシャッターボタンを押す。すると、直ぐ合焦のAF音が鳴るではないか。暗い場所へAFポイントを変えても、何処へ当てても直ぐ合焦のAF音が鳴るのだ。

これには、驚いた。素晴らしい進化だ、進歩だ。静止画のAFも試してみたが、全く差がない。いつもGH4の4KフォトのAFの遅さにイライラしているので、感動を覚えた。

4Kフォトは、AFの速さだけでなく、取り扱いも進化していた。撮影モードも3つある。一つ一つチェックは出来なかったものの、4Kプリ連写は可能性が広がる。シャッターボタンを押す前後1秒を自動記録するので、失敗を減らせるのである。

また、静止画の取り出しも簡単になった。GH4だと動画をコマ送りしながら選択する必要があったが、始めからコマで保存されるようになっていた。これなら拡大表示して、ピントの確認も容易だろうと思う。選択するのに手間が掛らないよう工夫されているのだ。

静止画の連写もどれだけ連続撮影できるか試してみた。シャッターを押すと軽快なシャッター音で連写が始まる。JPEGなら何処までも連写ができそうな感じで際限なくシャッターを切っていた。

仕様書では100枚まで連写が落ちないとあり、これは本当だろう。ただし、RAW+JPEGだと長つづきしない。仕様書では13枚でスピードが落ちると記載されている。それでも実用上は、ほとんど困ることはあるまい。

最後に、ファインダーのチェック。LUMIXのファインダーは、GH4から大きく改善されてきた。G7のファインダーもその流れの中にあり、見やすくてよいものだった。安心して使える事と思う。

最後にちょと気になった点と要望を上げておこう。
気になったのは、前後のダイヤルである。非常に良い位置に設けられており、使いやすいことと思う。ただ私の感覚だと回転が軽すぎるのではと思ったのである。この感覚には個人差があるので、一概に決めつけはできない。もう少し重い方が誤操作が防げるのではないだろうか。

G7は、デザインを含め、予想以上に進化していた。一眼カメラを欲しいと思っている人、4Kフォトに興味のある人にお勧
めしたいカメラになっていた。人気機種になりそうな予感がする。

GH4使いの私としては、ぜひ4Kフォトの進化部分をバージョンアップでGH4へ反映して欲しいところだ。ハード的に無理な部分があるなら、ソフトで可能なところだけでもアップをお願いして、このレポートを締めたい。

『パナセンター東京のある国際展示場駅構内:byGM1』




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2015年4月11日土曜日

ニコン COOLPIX P900 に触った


3月19日に発売された、ニコン COOLPIX P900が人気になっている。理由は、その焦点距離にある。何と35mm換算で光学24~2,000mmもの高倍率なのだ。

これまでレンズ一体型のカメラで最大の焦点距離は1,200mmであった。当然、一眼カメラの交換レンズに2,000mmなど存在しない。初めに2,000mmという数値を聞いた時、嘘だろう、まさか?と信じられなかった。

COOLPIX P900


では、COOLPIX P900の主なスペックを書き出してみよう。

〇画素数:1605万画素(有効画素)
〇センサーサイズ:1/2.3型CMOS(裏面照射型)
〇撮影感度:通常:ISO100~6400 拡張:ISO12800相当
〇シャッタースピード:1~1/4000 秒
〇ファインダー:0.2型電子ビューファインダー(92万ドット)
〇メカニカルシャッターとCMOS電子シャッターの併用
〇連写:約7コマ/秒
〇液晶モニター:3インチ92万ドット
〇動画:1920x1080(フルHD)
〇ボディ寸法他:139.5x103.2x137.4 mm
〇総重量:899g

となっている。
また、焦点距離2,000mmを構成する中身を調べてみると、EDレンズ5枚に加え、一部のレンズにしか使われていないスーパーEDレンズが1枚使われているという。かなり贅沢なレンズなのだ。

ここまで知ると、触って感触を試したくなる。早々に量販店で手に取ってみた。P900は、売り場に置かれているカメラをの中でひと際大きいので、すぐ目に着いた。

手に取った印象を率直にまとめてみよう。

【よいと思った点】
〇店内とは言え、初めて覗く焦点距離2,000mmは、迫力がある。初心者は仰天するだろう。
〇手持ちで2,000mmを撮るので、グリップがなかなか良く出来ている。ちょと古いニコンの一眼カメラは、浅いグリップ
のものが多かったが、最近改善されつつあり、深くて握りやすかった。
〇詳しいメニュー設定はわからないが、ニコンらしい操作性でまとめられていること。
〇ダイナミックファインズームで約4,000mm、更に光学ズームと電子ズームを併用すると約8,000mmまでズーム
できること。このズームは、他になく圧巻である。

【イマイチな点】
〇プラスチックボディなので、ちょと仕上げや造りが安っぽいこと。FZ1000よりも更にチープな感じがした。
〇レンズ部分を叩くと、空洞感が漂う音がすること。止もう得ないが、安っぽさを感じた。
〇ファインダー0.2型であり、高倍率の割には小さいこと。
〇RAW撮りができないこと。拘り派は残念だろう。

簡単にまとめると、こんな風になる。
やはり特筆すべきは、圧倒的な焦点距離である。ネット上の作例も2,000mmとは思えないほど、よく写っている。私の想像を超えていた。

ここまで写れば、悪天候の撮影でもない限り、野鳥撮りでもかなり使う事ができると思う。もしこれで、金属ボディでデザインや造り込みがもう一段よければ、一眼レフをかなり食うだろうと思う。一眼レフは、もう要らないと言う人もでたかもしれない。それは不味いので、ニコンとしては質感をやや落として、一眼レフと共存するようにしているとも考えられるのである。

今日の価格COMを見るとCOOLPIX P900の売り上げ順位は、2位である。先日まで1位だったのでかなりの人気機種になっていると言えよう。他のメーカー各社は、これを黙って見てはいないだろう。きっと1年以内に各社から対向機が出てくるだろうと思う。新たな段階の高倍率競争が始まりそうだ。注視していきたい。

『富士山と通勤電車』


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2015年2月19日木曜日

FUJIFILM X100T レビュー その4


レビューの最後は、ハイブリッドビューファインダーと名付けられた、X100Tのファインダーについて述べよう。
X100シリーズは、初期モデルからファインダーに拘って造られたカメラである。使ってみると、富士フイルムの技術者が、研究を重ねて造り上げたものだ、との感触が伝わってくる。

「MY X100T」

その特徴は、3つある。
まず、一つがOVFとEVFを自在に切り替えられる事だ。初めて使う人は、この事に驚くだろう。丁度、グリップ側の前面にあるレバーを操作すれば、OVFとEVFが切替えできるのだ。

OVFは、肉眼で見るように明るく精細である。EVFは、撮影範囲が明確で、露出が反映されたライブビューの画像が見える。撮影者の選択で、撮影用途によって、切り変えながら撮影できるのである。

2つ目は、MFで撮る時、OVFの視差を補正する技術が取り入れられている事である。X100シリーズのOVFは、レンズからの光をミラーやプリズム等で、ファインダーへ導く一眼レフとは異なる。あくまで、ファインダーの位置から見るOVFである。従って、見える範囲と写る範囲に差が出る。いわゆる視差がどうしても出る。

ところが、X100TではMF時に、この視差を補正する技術が使われているのだ。これを富士フイルムでは、リアルタイム・パララックス補正と呼んでおり、かなり優秀な補正が行われているのである。MF派にとっては、大変嬉しい技術と言えよう。

3つ目は、OVFでかつMFで撮るとき、右下にピント位置が拡大表示できるようになっていることだ。これはOVFの上にEVFの画像を一部表示させているもので、電子式レンジファインダーと名付けられている。

OVFを使いながらも、ピント位置が拡大することは、従来の常識にはない。また、ピーキング機能まで使えるので有難い。OVFでかつMFで撮りたい。そう言う人は結構多いはずだ。そんなカメラ好きのピント調整をしっか補佐してくれる機能が付いているのである。

「MY X100T」

このように、X100Tはファインダーに、徹底的に拘って造られている。特にOVFでかつMFで撮ることを前提にしていると言えよう。そう考えると、レンズの外側にネジを切り、レンズを極力短くしている事も理解できる。レンズが長いとOVFの視界を邪魔することになるからだ。

その意味では、フードを付けると、視界の邪魔になるので、元々フードを付けないことを前提にしているように思える。もし、フードを付けるならEVFで撮影する方が見やすい。

OVFでかつMFで、撮影範囲フレームで撮影範囲を確認しながらシャッターを押すことは、視界の中からベストな所を切り取る感覚がすると、往年のカメラファンは言っている。私の場合、年齢的には往年のカメラファンに近いものの、フイルム全盛期に、カメラにハマったことがないので、残念ながらその感覚がない。しかし、X100Tに使い慣れてくれば、やがてベストな個所を切り取る感覚が身につくのではないか、と期待しているところだ。

X100Tは、OVFに拘った35mmの単焦点カメラである。まさに、カメラオタク向けカメラと言えよう。単に綺麗な写真が撮りたい人には勧められない。カメラについて深く知りたい、勉強したい人にはおススメしたいカメラの一台である。

さて、このレビューは、とりあえずこれで終わり。まだ、使い始めて短期間なので、その内、改善要望などを含め、再度レビューできればと思っている。

「レビュー その1」    「レビュー その2」    「レビュー その3」


『神代植物公園(X100T スタンダード)』




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2015年2月13日金曜日

FUJIFILM X100T レビュー その3


今回は、X100Tの画質についてプレビューしよう。富士フイルムのカメラは、JPEGで撮るとき、基本スタイルをフイルムシュミィレーションの中から選択して決める。X100Tでは、11種類の中から選択できる。私はROVIA/スタンダード、Velvia/ビビッド、クラシッククロームをブラケティング機能(同時3枚記録)でよく使う。

では、ブラケティングで撮った3つの画像を紹介しよう。また、4枚目には、LUMIX GH4のスタンダードの画像も載せたので、比較してみて欲しい。(発色の違いがわかるようように、赤い郵便車を撮影してみた。運転者の方ご容赦!)

「X100T スタンダード」

「X100T ビビット」

「X100T クラシック」

「GH4 スタンダード」


これを見ると富士フィルムが、フイルムシュミィレーションで、記憶色、またかつてのフィルムの発色を追求していると言っていることがよくわかる。X100TのスタンダードとGH4のスタンダードちょと似ているが、微妙に異なる。郵便車の赤色はGH4が明く、空の青色はX100Tの方がかなり青い。この青は、意図的な発色に見えるが嫌みな色ではない。まさに記憶色といえよう。

もう一例、自然風景に近いものをアップしてみた。LUMIX GH4にはクラシッククロームはないので、風景で撮ってみた。

「X100T スタンダード」

「X100T ビビット」

「X100T クラシッククローム」

「GH4 スタンダード」

「GH4 ビビット」

「GH4 風景」


X100Tは全体的にコッテリした画質に見える。そして、GH4よりコントラストが明らかに強い。コントラストを強調した絵作りと言えよう。GH4のビビットはかなり派手かなと思っていたが、実はX100Tの画像に一番近いように思える。

次に、X100T、GH4、5Dm3のスタンダード画像を比較してみよう。


「X100T スタンダード」


「GH4 スタンダード」


「5Dm3 スタンダード」


「X100T スタンダード」


「GH4 スタンダード」


「5Dm3 スタンダード」


2種類の画像を見ると、それぞれの露出傾向が見えてくる。5Dm3は、使っていて思うとおりで、ややアンダーな露出傾向が出ている。GH4は、2枚ともやや明るめで、現実に近いが、やや淡白な写りに見える。X100Tの1枚目は一番適正に見えるが、2枚目は一番アンダーになっている。

発色傾向をみると、X100Tと5Dm3が曇り空を青くしようとしている傾向が見え、記憶色を追求しているように思える。古くからのカメラメーカーの考えを垣間見る気がした。

X100Tは、まだ撮影枚数が少ないものの、こってりとしたメリハリのある画像が得られると言える。フイルムシュミィレーションによって、異なる部分はあてっも、基本のメリハリある画像は変わらない。それは、メーカーの発表どおり記憶色とフィルムの発色を追求した結果であり、古くからのカメラファンには嬉しい風合いだろう。

その3の最後に、新しく搭載されたクラシッククロームを使い好みの発色で撮れた2枚をアップしよう。

「クラシッククローム」

「クラシッククローム」


実は、ちょと期待したクラシッククロームなのだが、思ったとおりの色合になかなかならない。期待が強すぎたのかもしれない。X100Tで撮った写真の内、この2枚が私が想像していたクラシッククロームになっている。あまり強いクラシッククロームにすると、画像フェクトになるので、メーカーはそれを避けたのだろうか。いずれにせよ、撮り方使い方を研究してみたい。

さて、X100Tのレビューは、3回で終わる予定であったが、機能などについて踏み込めていないのでもう1回追加する予定である。

「レビュー その1」  「レビュー その2」     「レビュー その4」

『多摩川の詩(X100T スタンダード)』


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