2015年7月23日木曜日

LUMIX DMC GX8に触った


7月16日、パナソニックが噂になっていたLUMIX DMC GX8を発表した。言うまでもなくGX8は、現行機種GX7の後継機主である。発売は8月20日だと言う。

GX7の発売が2013年9月12日だったので、ほぼ2年経つことになる。GX7は、GX1から、間の番号を飛ばしていきなりGX7になって、ネットの各種掲示板で大騒ぎになった。そのことが懐かしく思い出される。月日の経つのは早いと思うと同時に、デジカメの機種回転の早さに驚く。

『GX8(ブラック)正面』


『GX8(シルバー)正面』



最近のパナソニックは、新機種発表の後、直ぐに東京と大阪のセンターに、実機を展示してくれるので有難い。G7の展示も早かったが、今回のGX8も17日から直ぐに展示を始めていた。私は、思い立って18日に東京のセンターへ行って、実機に触ってきた。聞くところによると、大手量販店などでは、17日からモックアップを展示していると言うので、パナソニックの力の入れ方がわかる。

手に取って操作した時間は、30分に満たない程度。それでも、いろいろ感じるものがあった。では、ファーストインプレッションを始めよう。まず、主な仕様を書き出してみたい。

〇画素数:2030万画素(有効画素)
〇センサーサイズ:4/3型LiveMOS
〇撮影感度:通常:ISO200~25600 拡張:ISO100
〇手ブレ補正:センサーシフト方式(ボディ内補正とレンズの補正を連動。呼称:「Dual I.S.」)
〇シャッタースピード:1/16000~60秒(機械式:1/8000)
〇ファインダー:チルト式、アスペクト比 4:3 / 約236万ドット 有機EL(OLED)
〇ファインダー視野率:約100% / 約1.54倍(35mm判換算:約0.77倍)、倍率変更可
〇シャッター:フォーカルプレーンシャッター(電子シャッターあり)
〇連写:約8コマ/秒(AFS時) / 約6コマ/秒(AFC時) ライブビューでは約6コマ/秒
〇4Kフォト:4K連写、4K連写(S/S)、4Kプリ連写: 30コマ/秒
〇液晶モニター:3:2 / 3.0型 / 約104万ドット、フリーアングルモニター / 静電容量方式タッチパネル / 約100%
〇動画:AVCHD/AVCHD Progressive/MP4
〇ボディ寸法:133.2x77.9x63.1 mm
〇ボディ構造:マグネシウム合金、防塵・防滴
〇総重量:435g(本体のみ)

この仕様の中で、特筆すべきは、ボディ側とレンズ側の補正を連動させる、世界初のコントロール手ブレ補正システム、「Dual I.S.」を搭載している事である。2年前に、GX7にボディ内補正が搭載された時、何時かレンズ補正とボディ補正を連動させる事が起こるだろうと思っていたが、GX8でこれを実現したことは、実に素晴らしい。盛大な拍手を送りたい。

パナソニックのHPの記載を読むと、手ぶれ補正角を最大で3.5倍にアップしたとある。また、発表会では、手持ち1/10秒で撮影した滝の写真が展示されていたというから、かなり強烈な手ぶれ補正が可能なようで、嬉しくなる。

『GX8とGX7 大きさ比較』

それでは、手に取って見た感想を書こう。まず、大きさである。確かに巷間言われているように、GX7から見ると、大きくなった。GX7(122.6x70.7x54.6mm)と大きさを比較すると、横幅で10.6mm、高さで7.2mm大きくなった。なお、見た目で言えば、シルバーは、膨張して見えるので、更に大きく見える。

この大きさの理由は、開発者に聞かなければ解らないものの、手ぶれ補正機構の「Dual I.S.」を搭載したことに原因があるとは思えない。超小型のGMシリーズでは、グローバルに売れないので、大型化を選択したように思える。特に市場規模が大きく、大型カメラが好きな中国やアメリカに合わせたのではないかと思われる。

また、発表会のレポートを読むと、パナソニックでは、自社一眼カメラを「ストリート・フォトグラフィー」と「ハイブリッド・フォトグラフィー」に分類すると言う。そして、「ストリート・フォトグラフィー」のフラッグシップ機がGX8だと発表しており、ボディを大きくしたのは、フラッグシップ機に相応しいものにするためだったとも考えられるのである。

手に取って見た質感やデザインはなかなか素晴らしい。GX7と比べると、ボディ下部全体が、革張りにされた。更に、フリーアングルモニターの裏面までも革張りされたのだ。また、GX7と比べると、レンズの位置がボディの中心側にあるので、正面から見たバランスもよい。レンジファインダー機のように見えるし、ライカのカメラに似ている。

ダイヤル類は、全部で4つある。モードダイヤル、露出補正ダイヤル、前ダイヤル、後ダイヤルである。モードダイヤル、露出補正ダイヤルは2段重ねになっている。露出補正ダイヤルが独立しているので、前と後のダイヤルに好みの機能を割り当てることができる。また、後ダイヤルの中心にあるボタンを押せば、更に機能の変更が出来るようになっていて、これまで以上に、自分好みにカスタマイズが出来るのだ。上級機の名に恥じない充実ぶりである。

『GX8背面』


『GX8上面』

細かい点を言えば、ファインダーは、チルト式でルミックス史上最大の大きさであり、かなり見やすい。また、35mm換算の倍率0.77倍と0.7倍を切り替えて使用できる。1点AFの大きさもGX7と異なり、GH4のようにかなり細かく調整ができるようになっていた。4Khotoについても、G7と同じく3つのモードが用意されているので、何ら不満はないと思う。

残念ながら画素数がアップしたセンサー性能については知りようもない。2,000万画素に増えたので、高感度耐性が劣るのではと心配もあるが、聞く所に寄れば、画素数は増えても高感度のノイズは減っていると言う、嬉しい情報もある。いずれ、Web上にサンプル画像や評価が出てくるだろうから、見極めたいと思う。

新しい手ブレ補正の「Dual I.S.」を使うには、レンズのファームアップが欠かせない。発表会では、GX8発売時までに、6本のレンズをファームアップし、その後、2015年度年内に9本のレンズを順次ファームアップすると公表されている。詳しくは、下記の表のとおりだ。(GX8発表会の公表データより転記)。

GX8発売までにアップされるレンズ
2015年度内に順次アップされるレンズ
LUMIX G X VARIO 12-35mm/F2.8 LUMIX G VARIO 12-32mm/F3.5-5.6
LUMIX G VARIO 14-42mm/F3.5-5.6 Ⅱ     LUMIX G VARIO 35-100mm/F4.0-5.6
LUMIX G VARIO 14-140mm/3.5-5.6 LUMIX G VARIO 35-150mm/F4.0-5.6
LUMIX G X VARIO 35-100mm/F2.8 LUMIX G 42.5mm/F1.7
LUMIX G MACRO 30mm/F2.8 LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm/F2.8
LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2 LUMIX G X VARIO PZ 14-42mm/F3.5-5.6

LUMIX G VARIO 14-42mm/F3.5-5.6

LUMIX  G VARIO HD 14-140mm/4.0-5.8

LUMIX G X VARIO PZ 45-175mm/F4.0-5.6  

更に、4Kの連写機能を使った「フォーカスセレクト」機能を将来のファームウェアアップで実現するという。どれほど実用性があるのか解らないものの、先々の機能追加まで約束されているので、嬉しい。パナソニックの意気込みが感じられ、期待して待ちたいものだ。

これまでのLUMIXのカメラは、「女流一眼」と言うキャッチコピーを生んだように、女性を意識したものが多かった。ところが、GX8はこれまでの流れと異なり、大きく重くなり、一見すると武骨に見えるものになった。一言で言うと、男気カメラと言えよう。ただし、こうした男性的なカメラを女性が持っても可笑しくない。可愛いカメラより、こうしたカメラを好きな女性も大勢いることだろう。

私はGX8のデザインは、悪くないと思う。各要素を上手く組み合わせたものだと感心する。よって、GX8を買う事に決めた。ただし、GH4、GX7、GM1、LF1とLUMIX機がコンデジまで入れると4台もあり、これに他社フルサイズ一眼、APS-Cコンデジもあるので、整理をしないと買い切れない。悩ましい限りだ。

カメラは、嗜好品なので使うほどに愛着が深まる。いざ、これとこれを売って等と考えるのが辛いのである。また、この後に続くだろう、GMやGH4の後継機種も気になる。たぶん、発売後直ぐにはGX8を手に入れられないだろうと思う。どこまで我慢できるかも自信がない。しばらく手持ちカメラの整理で悩むことが続きそうだ。

※7月24日、記載内容の修正と加筆をしました

『坂の上の家々』




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2015年7月5日日曜日

KIPONマウントアダプター「EF-MFT AF」を試す


今年4月中旬、マウントアダプターを販売している焦点工房が、KIPONの「EF-MFT AF」と言う画期的なアダプターを発売すると発表した。このアダプターは、マイクロフォーサーズカメラで、キヤノンのEFレンズ及びEF-SレンズのAFと手ブレ補正の動作、Exif情報を伝達するもので、世界初とKIPONが言うものであった。

この事を知って、キヤノンとLUMIXの一眼を使っている私は、即座に使ってみたいと思い、情報収集と同時に予約を入れた。ネット情報では、予約が多くて手に入れることが難しい記述があったものの、6月末に手に入れる事ができた。

『EF-MFT AF(左は入れもの、右が本体)』



行きつけのカメラ店で手に入れたのだが、どういう訳か焦点工房が楽天等で販売している価格より数千円安かった。
「EF-MFT AF」はずべてのレンズに万能ではない。焦点工房では、オリンパスとパナソニックのカメラで動作確認をしたレンズについて、HPで案内をしている。興味のある方は、下記のページで動作確認済みレンズリストのPDFファイルを開いて欲しい。

焦点工房(EF-MFT AF)

さて、私も所有しているEFマウントのレンズについて、LUMIX GH4に装着してチェックしてみた。ここの所、LUMIXの出番が多く、EFマウントレンズは増えていない。5DMⅢを買った時にEF-Sレンズは処分したので、むしろ減っている。増えない理由は、価格が高いことも大きな要因である。何しろ最近発売されているEFのLレンズは、20万円級ばかりなのだ。一般サラリーマンが手を出せる範囲を超えている。愚痴は、これくらいにして、所有しているレンズの作動結果を挙げよう。

レンズ名
AF作動
MF操作
備    考
EF24-105mm F4L IS USM
作動遅い、絞り・SS調整可能
EF400mm F5.6L USM
〇(注)
作動普通、絞り・SS調整可能
EF8-15mm F4L フィッシュアイ USM
作動遅い、絞り・SS調整可能
タムロンSP AF90mm F/2.8 Di MACRO
×
絞り、SS調整可能
タムロンSP AF 180mm F/3.5 Di MACRO
×
絞り、SS調整可能
タムロンSP 70-300mm F/4-5.6 Di VC USD
×
絞り、SS調整可能

(注):中心のAFのみ、ピントが合う。周辺は合焦しても、ピントが合っていない。

この表のとおり、タムロンレンズのAFは全部ダメだった。秘かにマクロレンズが動いてくれることを期待したのだが、残念な結果になった。ただし、MFでは十分に使える。電子接点があるので、絞り調整もSS調整も可能だ。これまで使ってきた電子接点のないアダプターでは、開放側でしか使えなかったが、かなり自由度が高まったと言えよう。


『テスト中』

『EF-MFT AFの装着



EFレンズは、流石にすべて作動した。ただし、EF24-105mmもEF8-15mm F4L フィッシュアイも作動は遅めである。ミラーレスカメラが発売された当初のAFは遅めであったが、その作動のスピードくらいだろうか。AF全域でほぼ同じくらいのスピードで作動するので、何とか実用性はある。

EF400mm F5.6L USMは、一番古いレンズなので動かないだろうと思っていた。ところが、これが一番早く作動した。これには、驚いた。ただし、撮影した画像を見ると、中心のAFで撮ったものだけがピントが合っていた。周辺はAFが合焦しても、実際の画像はピンボケであった。中心部だけで使うなら、十分実用性がある。

なお、連写は、AFSであれば、秒6枚くらいの速度で動く。AFFで少しだけ動き、AFCでは全く作動しない。AFFとAFCで実用性はない。

EF400mmの中心AFで撮影したトンボ』

『ピント位置の等倍画像』



テスト結果をまとめると以上のようになる。所有しているレンズが、古いものなので、仕方のない部分はあるが、よくぞAF作動を実現させたものだと感心した。焦点工房の作動確認を見ると、新しいレンズほど、結果がいいようだ。KIPONは、中国のメーカーであるが、よくぞ作ったと拍手を送りたい気持ちだ。装着した時のガタツキもないので、かなり精度が高いと思う。

こうした電子接点を持つアダプターは、ユーザーにとって大変ありがたい。今後こうしたアダプターが、各社から発売され、AF精度やスピードを競うようになれば面白いと思う。そうなれば、ユーザーは複数のマウントのカメラを自由に味わえるようになるからだ。

ただし、カメラメーカーが自社のカメラやレンズを守るため、電子接点のあるマウントアダプターの装着をさせない対策をすると困ってしまう。各カメラ、レンズメーカーには、そんな事をしないようにお願いをしたいものだ。

『蓮一花』




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